南仏、音楽つれづれ日記

南仏での生活、音楽、旅行などのんびりと記していきます

ちょっとした事件

ただいま日本に一時帰国中です。

 

帰国前にあった出来事について書き留めたいと思います。

 

私の住んでいるモンペリエという街で、スリにあいそうになりました。

ある日、私は大きなスーツケースとリュックとハンドバックを持っていました。トラムに乗り込もうとした際、入口のところで2人の若い女の子が私の前に立ちはだかります。私は中に入れないので、「すみません、入りたいんですけど」といったにもかかわらず、2人には聞こえていない様子。その後何度か話しかけるとこちらにやっと気づいて重い荷物を車内に入れるよう手伝ってくれようとしました。さて、何か怪しいと思ったその瞬間、私のハンドバックに目をやると、真後ろで大きなバッグを持った1人のおばさんが私のカバンから財布を取ろうとしてるではないですか!

すかさず私がそれをギロっと見つめた瞬間、おばさんは何事もなかったのごとく手を引きました。

乗る前から気づいていたのですが、若い女の子達は小綺麗な格好で、グッチのリュックも背負っていました。車内でその3人を観察していると明らかにグルになっていて、次の駅で彼女らはそそくさと降りて行きました。

このような一見スリなどしなそうな人たちがグループを組む、というのは1つの常套手段のようです。このことを一応耳にしてはいたので少し警戒心が働き、間一髪被害を免れました。

 

またもう一件。パリでのことです。

 

とあるメトロの入り口付近で黒人の若い男の人が何らかの署名を求めて来ました。私はすぐに断りましたが、(通常断れば諦める人がほとんどなのですが)しつこくついてきました。私は友達といたのですが、ちょうど雨が降っている時で傘を持っていたこともあり隙があるように感じられてしまったのかもしれません。気づいたら4人の大きな黒人に囲まれて、私の鞄の中に思いっきり手を突っ込まれました。私は、ぜっっっったいにここで財布と携帯だけは取られまいとその2つの必需アイテムを力づくで握りしめ、彼らを振り切りました。そしてひとりの男がつかみとったのは私のカバンの中で唯一失くなっても何のダメージのないビニール袋でした。(笑)

その時は必死でしたが直後には本当に腰が抜けそうになりました。

 

2つのことに共通するのは、私がいかにも観光客風の姿であったということです。

 

私の思うこととしては怖かった、というよりも、このようにしてお金を取ろうとする彼らに対して強い憐れみを感じました。そのような生き方を強いるもの、引き金となるものは何なのか、悪事を働いているという意識さえ麻痺しているように映る彼らの先にある未来は…。

 

今回、異国の地にいるということを再認識させられました。もちろん、日常生活は住む前に想像したよりもずっと平和です。しかし、日本に比べて多様な人種がいて、道端でお金を乞う人には毎日出会うし、やはり日本とは異なります。ひとりの外国人として、自分の身を自分で守ること、そして改めて安全な日本という国に住んでいたんだということを実感しました。