フォルマシオンミュジカルって
音楽院ではソルフェージュの授業が週に1度、2時間あります。私にとって必須科目ではないけど、「ソルフェージュといえばフランス」という言葉を今までに何度か耳にしたことがあったため、せっかくだから1年間とることにしました。
ソルフェージュ、と言いましたが、正式な授業名はFormation musicale (フォルマシオン ミュジカル)です。
Wikipedia によると
フォルマシオンミュジカルとは、フランスで行われている新しいソルフェージュのことである。従来のソルフェージュは、聴音と新曲視唱が中心であったが、このフォルマシオン・ミュジカルでは、大作曲家の作品を教材にして、聴音、読譜、リズム、音程練習、移調練習、楽曲分析、音楽理論、音楽史などに触れ、音楽家が身につけるべき真の教養を目指す内容となっている。
とのこと。
一番重要なポイントは、本物の音楽作品を使ってソルフェージュをおこなうことです。そのため、ソルフェージュの授業のなかで芸術性の高い作品にたくさん触れることができます^^
また、日本ではやったことのなかったのが、Le commentaire d'écoute というもの。これは、ある作品の一部分を聴いて(楽譜は見ることができない)、文にして楽曲について説明しなければならないのです。拍子、小節数、調性、テンポ、楽器編成、考えられる作曲家及び時代、スタイル、その他特徴などなど。これは慣れないとなかなか難しい。私はこの時間になると指名されないよう人の影に隠れることに必死です。
そして、カリキュラムとして素晴らしいと感じたのは、一年を通して(正確には半年強)一つのオーケストラ作品を学ぶというものです。今年はストラヴィンスキーの火の鳥だった!ちなみにこの曲はバレエ組曲。
まず新学期にこの作品のオーケストラスコアを各自用意する。
はじめは楽譜を見ず、いくつかの曲を抜粋して例のcommentaire d'écoute を行う。
抜粋した曲の聴音をする。
楽曲分析をする。
曲中で音の表すモチーフとバレエのストーリ―、登場人物との関連性について学ぶ。
どの楽器が主旋律を受け持つか、曲を聴き、スコアを見ながら追っていく作業
などなど、授業の中で少しずつ学んでいきます。
そしてついこの間!!!!モンペリエのCorum というコンサートホールにて、モンペリエ管弦楽団によるコンサートが行われました。そう、ストラヴィンスキーの火の鳥がプログラムに含まれています!!↓
Benjamin Britten (1913-1976)
Sinfonia da Requiem opus 20
Béla Bartók (1881-1945)
Concerto pour piano n° 3 Sz 119, BB 127
Igor Stravinsky (1882-1971)
L’Oiseau de feu
こうしてようやく通しで火の鳥をゆっくりと鑑賞。感動はひとしおでした!!ただ勉強した曲だから知っている、分かりやすかったという感想ではなく、学んだうえで聴くとより楽しめることに気付きました。ソルフェージュとは、ソルフェージュの授業の中で完結するものではなく、演奏するとき、教えるとき、音楽を聴くとき、など様々な実践の場で役立たせてこそ価値が見いだせるんだなあと感じました!
ちなみにこのコンサート、音楽院の生徒だと一席あたりなんと2.5€です(一般だと20€以上)。サンドイッチの四分の三くらいの値段でいいのかしら。。
コンサート前
火の鳥のスコア
帰り際の夕やみ